本多孝好 『真夜中の五分前 sideA/B』以前消失した内容などとうに忘れているので、こんな感じだったかなぁと思い出しながら書いてみる。
もともと『MISSING』という作品で知った作家さんで、不思議な空気と特異な主人公をうまくあやつる作家さんだなぁと思いました。
この後に、『FINE DAYS』というそれも短編でしたが、以前よりも構成が磨かれとても好きになりました。
その作家の待望の新刊。
今回は長編です。
実は『MOMENT』という作品で、長編は書いていらっしゃるのですが、その作品は読んでいないのでこれが初です。
今までの経験上、短編の上手い人って長編は・・・^^;だよねという人がいたわけですが、さすが本多孝好、おもしろかったぁ。
彼の空気はそのままに最後まで一気に流れていく構成は一度読み出したら止まらず、一日で読んでしまいました。
恋愛感情を書いた。
と作者が言うように、この作品は恋愛小説です。
が、僕がこれを読んだ後に感じたのはなんだかモヤモヤとした感情でした。
トゲがどこかにひっかかったような、そんな気持ちの悪い感じ。
読んだ人に何かを思い出させる力が物語にあるのなら、この物語は作者の言うように恋愛感情を思い出させるのかもしれません。
それもある種の痛みをともなう思い出を。
主人公はラストにいたって、ある事を克服し、乗り越えていきます。
誰だって利口に生きているわけじゃない。どうしようもない思い抱えて、キズを隠して、聞こえないフリをしてそして生きていく。
だけど、眠りに落ちる少し前。
自分を作ってくれた人達をふっと思い出す時がある。
その感情をどう表現していいかはわからないけれで、その瞬間があるからこそここで生きていける。
自分は1人じゃない。
それだけでなんとかやっていけるような気がする。
どんな感情を思い起こすのかは、その人次第だと思うけど、僕はこれを読んでそういうちょっと不思議で懐かしい感情を持ちました。
あなたはどうでしょうか?